【不動産の価格査定に対する基本的な考え方】

査定/買取/売却の相談 不動産売却ガイド(不動産査定フォーム)

売主様が買取をご希望。お引き渡し後、内装の大規模なリフォームを施工(中古マンション)。

 

不動産の価格査定

1.不動産の売却の仲介を前提とした査定

不動産売却の買主の方を探すお手伝いする、いわゆる仲介の依頼を受けるために行う査定においては、不動産業者はその査定価格を保証する責任を負うわけではありません。

不動産業者は、その査定価格での売却がうまく運ばないとしても道義的責任を感じるかどうかは別として、何の金銭的な負担を負うことはありません。

ウェブ広告のなかには、相当数の業者から一括して価格査定をしてもらって、あたかもそのうちの最高査定価格を提示した業者に任せれば大きな金額上のメリットがあるかのようなイメージを抱かせるものがあります。

果たしてそのような結果になるでしょうか。

実現性の裏付けの無い査定価格の提示は、売主様であるお客様の計画に大きな支障を生じさせることになります。

長岡市外のやや郊外の中古住宅。築浅でかなりクレー度の高い仕様ので維持管理の良い物件でした。

査定/仲介/売却の前例-00「長岡市外のやや郊外の中古住宅。築浅でかなりグレードの高い仕様で、維持管理が良い物件でした。」

自然落雪式高床住宅。リビングは吹き抜け。開放感のある優良物件でした。

「自然落雪式高床住宅。リビングは吹き抜け。開放感のある優良物件でした。」

査定対象の不動産が所在する地域の社会的、経済的情勢とその趨勢等を良く把握する必要があります。

その地域において豊富な仲介もしくは売却等の実績を持たない会社には、売却希望価格の水準別に売却が実現する(成約する。)可能性を適正に判断できることはできません。

自分でも、「とてもこの価格では売却は実現しないな。」と感じていても、取り敢えず高い査定価格を提示して物件の売却依頼を受けることが先だ。

このような明確な根拠のない査定価格は、絵に描いた餅というより、かえってお客様である売主様に害を与えることになります。

ただ単なる査定価格の高低よりも、その査定を行う会社の実績と信用度、実際行っている広告販売活動の実態等を良く調べてみて、判断しなければなりません。

長岡市/不動産価格査定書表紙のひな形

「不動産査定書の1枚目です。このような書式に不動産に関する重要な事項、数値等を入力して検討を進めて行きます。」

建物の価格査定における現価率表 耐用年数、経過年数、残存耐用年数、残価率などを判断する必要委があります。

「建物部分の価格査定における現価率表:耐用年数、経過年数、残存耐用年数、残価率などを判断する必要があります。」

2.不動産の買取を前提とした査定 

これは、不動産を買受ける不動産業者にとってかなり高い精度の事業計画を立てる必要があり、その精度と確実性とが求められます。

自然落雪式高床3Fのかなり大きな中古住宅。内外装とも大規模なリフォームとなりました。

「自然落雪式高床3Fのかなり大きな立派な中古住宅。内外装とも大規模なリフォームとなりました。」

 

中古住宅の査定買取リフォーム販売実績例2

「和洋風のしっかり中古住宅。築20年ほど経過していたため、内外装とも大規模なリフォームとなりました。」

LDKの仕上がり。思い切って、本物の真っ白いタイルを使ってみました。

「LDKの仕上がり。思い切って、本物の真っ白いタイルを使ってみました。」

不動産業者が買取をした場合、代金金額の他に、登録免許税、不動産取得税、金利等がまずかかります。

その後のリフォーム工事費、広告費などの販売経費もかかります。

そのような費用の合計額に見合った金額で販売できるか否かは、買取りした事業社に何の保証があるわけではありません。

その買取りをした不動産業者の事業計画が適正でなければ、その業者が損出を出すというだけで、売主には何の影響もありません。

そのような意味で、自社の能力等を慎重に検討し、詳細な調査に基づく事業計画から導き出された買取価格の決定は、経営に大きな影響を及ぼすものであり、仲介での価格査定の場合と異なりその重みが全く違います。

その物件の需要者の方たちをイメージして、どの様に買取りをした物件を再生、リフォームすることが、一番適正なのか。

購入が見込まれるお客様にとって、コストパフォーマンスは劣っていないか。

これが最善の計画内容か。

検討を要する事項は尽きません。

ご提示した買取り金額は、売主様から建物内の事故等の重要な説明がなされていなかった場合等を除き、取り下げることはできません。

ある時点で、当該事業責任者が全責任を負って決断することになります。

 

3.当社での価格査定における売却希望価格設定案のご提示

当社では、仲介する場合の販売開始価格の検討資料としての査定価格と、買取りをさせていただく場合の買取価格を、併記する方式で不動産価格査定書を作成しています。

このような、売主様であるお客様の選択肢を広げるための努力は、非常に大切な意義あることだと考えています。

売主の方がご自分で若干のリフォームを行ってありました、中古住宅の仲介物件。

査定/仲介の実例-03「売主様の方がご自分で若干のリフォームを行ってありました、中古住宅の仲介物件。」

 不動産の価格査定、及び、買取、売却に関連した記事集:https://www.wako-re.info/blog/?cat=59

 

4.不動産の価格査定依頼が増えています。その作成の責任と重要性が増してきました。

昨今の新潟県における経済情勢、個人所得低迷を反映してか、住宅ローンの返済負担を抑えるように考慮した、中古住宅の需要に根強いものがあります。

このような中古住宅に対する需要が多い時期、団塊世代の方々が次々に70才代に入ってくる高齢化の段階を迎えています。

冬の雪下ろし等の除雪作業。家屋の屋根、外壁、夏の草木等の手入れ。そして大雨による災害の心配。

このような年代の方々にとっては、戸建て住宅を維持管理していくことは、まだ若い世代と違い大変なご苦労があり、常に大きな不安がつきまといます。

都会にいるお子さんたも、天気予報やテレビのニュースを見て、心配をなさる。

そんな状況を反映してか、市街地のマンションに移り住みたいというご高齢の方のご要望が急激に増加してきました。

現在、居住をしている住宅を売却して、その資金に充てたい。価格査定をしてほしい。

このようなマンション購入需要と中古住宅の売却がセットのケースが自然と増えてきます。

一年ごとに着実に高齢化社会が進展していることを実感します。

そこで、重要性を増してきたのが、正確な資料、データに基づいた適正な価格査定書の作成能力です。

その算出された査定価格に基づいて、お客様はこの大事業を進める計画を立てます。

価格査定書の作成者の責任は重大なものがあります。

お客様が喜ぶから、高めの価格を出し、まず物件を預かる方が優先として行動することには、道義的に言っても避けなければならないことだと思います。

売却が実現するまでに、無駄な長い時間を要することとなり、ひいてはお客様のご要望に反することとなります。

 

また、別に若い世代においても次に述べるように価格査定書の作成が重要となるケースが多くあります。

住宅ローンの返済が厳しくなってきたような場合です。

一般的に、新築後あまり期間を経過していない住宅の場合、借入の残額がその住宅の売却可能価格を大きく上回ることが多いようです。

20090420-zankaritu-24

その場合は、現在の住宅の所有者は自己資金を売買代金に追加補充するか。

または、金融機関に売却代金相当額を返済した時点で、土地・建物に設定された抵当権を抹消してもらって、残った借入金は無担保債権となりますが、これについて長期で返済していくかです。

前者の場合は、これが可能なのであれば何の問題もありません。

しかし、後の場合は、なかなか難しい問題がいくつもあります。

現在の月々のローン返済が何何ヶ月か滞っているような状態のときは、金融機関サイドから住宅売却による返済の提案がなされることもあります。これを『任意売却と言います。

金融機関からすれば、かなりダイナミックな手続きです。

このような場合にもさらに重要になるのが、『不動産の価格査定書』です。

いくらで売却が可能なのか、その算定は合理的な根拠に基づいて行われているかが重要なポイントになります。

住宅所有者はもちろんのこと、金融機関は、一部の貸金債権が無担保化するリスクを負ってでも回収に踏み出そうとするには、その判断にあたって正確性、合理性が強く求められることは当然のことでしょう。

このような場面では、本来「不動産の鑑定評価」がなされるのがベストでしょうが、費用等の関係でなかなか実施できない状況です。

そうすると、所有者が依頼した、もしくは金融機関の方からご紹介のあった不動産業者が、その媒介業務の一環として住宅の価格査定を行うことが一般的です。

当社も日本住宅金融機構の融資にかかわる、このような「任意売却」物件の処理を15年ほど前からお手伝いさせてもらっており、延件数は200を超えます。

その間、色々な経験をさせていただきました。

そのような出来事、内容については、支障の無い範囲で機会を見て書いてみたいと思います。

話が横道にそれてしまいました。

価格査定の結果、及び、その内容については、口頭で説明もいたしますが、金融機関の場合はその査定書に基づいていろいろな部署で手続きが進められていきます。

いうなれば価格査定書が独り歩きしていきます。

このようなことをよく考えると、査定を厳密正確に行い、それをキチッとしたわかりやすい形にまとめることは、大変重要であると同時に、責任も大きいことがわかります。

土地は坪いくら。建物は築後何年だから、だいたいこのくらい。

これではもう時代の要請には応えられない。

確実に、そんな時期に来ています。