不動産の価格査定では、売却の仲介を前提とするものと買取りを前提とするものとは、全く基準が違います。

最近の不動産価格査定実績
最近の不動産価格査定実績
まず、不動産の売却の仲介を前提とした場合のお話しです。 

不動産売却の買主を探すお手伝いする、いわゆる仲介の依頼を受けるために行う査定においては、不動産業者はその査定価格を保証する責任は負いません。

先日にも記事に書いたように、実現性の裏付けの無い査定価格の提示は、売主であるお客様の計画に大きな支障を生じさせる結果となります。

不動産業者は、道義的責任を感じるかどうかは別として、何の金銭的な負担を負うことはありません。

あるウェブ上の広告では、何十社から一括して価格査定してもらって、あたかもそのうちの最高査定価格を提示した業者に任せれば大きな金額上のメリットがあるかのようなイメージを抱かせるものが多くあります。

果たしてそのような結果になるでしょうか。

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その地域の社会的、経済的情勢を良く把握し、豊富な仲介件数等の実績を持たない会社には、売却希望価格の水準別に売却が実現する(成約する。)可能性を適正に判断できることはできません。

自分でも、「とてもこの価格では売却は実現しないな。」と感じていても、取り敢えず高い査定価格を提示して物件の売却依頼を受けることが先だ。

こんなことがあってはいけません。

こんな査定価格は、絵に描いた餅というより、かえってお客様に害を与えます。

査定価格の高低よりも、その会社の実績と信用度、実際行っている広告活動の実態等を良く見て、判断しなければなりません。

以上述べたように、責任とその査定価格による売却の実現性において、上に述べた2つの査定価格相互の間には天と地ほどの開きがあります。

今日、インターネットに掲載されている広告などで、不動産業界に流れている空気みたいものを見たような気がしました。

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南魚沼市坂田の龍言近くの高床自然落雪住宅-リフォーム準備中

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次に、買取りの場合の査定についてのお話しです。

これは、かなりの事業計画の確実性と精度が必要とされます。

買取った場合、代金金額の他に、登録免許税、不動産取得税、金利等がまずかかります。

その後のリフォーム工事費、広告費などの販売経費もかかります。

そのような費用の合計額に見合った金額で販売できるか否かは、買取りした事情社に何の保証があるわけではありません。

その買取りをした不動産業者の事業計画が適正でなければ、その業者が損出を出すというだけで、売主には何の影響もありません。

そのような意味で、自社の能力等を慎重に検討し、詳細な調査に基づく事業計画から導き出された買取価格の決定は、経営に大きな影響を及ぼすものであり、仲介の場合と異なりその重みが全く違います。

その物件の需要者の方たちをイメージして、どの様に買取りをした物件を再生、リフォームすることが、一番適正なのか。

コストパフォーマンスは劣っていないか。

これが、購入物件を探してるお客様にとって、最善の計画内容か。

検討を要する事項は尽きません。

ご提示した買取り金額は、建物内の事故等の重要な説明が売主からなされていなかった場合等を除き、取り下げることはできません。

ある時点で、当該事業責任者が全責任を負って決断することになります。

当社では、仲介する場合の販売開始価格の検討資料としての査定価格と、買取りをさせていただく場合の買取価格を、併記する方式で不動産価格査定書を作成しています。

このような、お客様の選択肢を広げるための努力は、非常に大切な意義あることだと考えています。